50の風景と、風景にまつわる言葉。

小さな世界の窓から見える色々な風景のひとつずつ。

TVピープル

TVピープル』という村上春樹の小説があって。

 

その中身についてはもう忘れてしまったけれど、『TVピープル』というのはなかなか良いタイトルだなと思いつつ、でも、今の時代にTVピープルはもう古いのかなとも思ったりする。

 

もうかれこれ5年くらいTVのない生活をしていると、TVが無い事によって何も困らないということを実感しつつ、でも、TVがみんなの生活でとても影響力があるのだなと思われることもしばしば。

 

特にCMの映像やそこで流れている内容が会話に引っ張り出されることはよくあって、その都度「TVないので。。」と申し訳なく告白をしたりする。更にTVがないことに対して驚かれることも非常に多くて、そんな時、TVがこの世においていかに影響力があるのかを思い知らされる。

 

TVがあることが当たり前という日常は何か不思議で、例えば家に一人で居る時に、外の世界と繋がるべき要素はないのに、常に受動的に世界へと繋がってしまうTVは、一体そのベクトルが内向きなのか外向きなのかわからない。10倍返しは一体自分自身に対する仕返しなのか、その矛先はどこに向かうべきなのか。

 

いつの間にかみんなTVピープルになって、気が付いたら内向きの世界できっとじぇじぇじぇと驚くこともなく、眠りに落ちていくんだ。