50の風景と、風景にまつわる言葉。

小さな世界の窓から見える色々な風景のひとつずつ。

2016年6月18日(土)曇り。大源太山へ登る。

 

今年は雪解けも早く、登山シーズン到来。

東京駅や越後湯沢駅で登山姿の方をしょっちゅう見かけるようになり、うずうずしてきたので、今年最初の山入りをキメてきました。

湯沢周辺はなかなか登山に関しては充実していて、少し足を延ばせば谷川岳などもあり、どこに行こうか悩む。調べてみると、山開きは大体6月下旬〜7月頭で、谷川岳のロープウェイなども、まだ運転していないので、山開き関係なく楽しめそうな山を探すことにする。

仕事の合間と、会議中にも、色々と探した結果、、

上越マッターホルン」の異名を持つ、大現太山に決める。

稜線歩きも充実しているし、沢渡りや鎖場などもあるらしく、なかなか面白そう。

帰りのセブンで飲み物と行動食等を買い求め、なんとかなるかと、あまり準備をせずに就寝。ところで、今回は地図は紙ではなく、アプリを使ったのだけれど、「YAMAP」が無料でそこそこ使えるマップもダウンロードできて、かなり良いです。今回のルート確認はこのアプリのおかげで何も問題もなくできました。


さてさて、4時の目覚ましで目が覚める。10分程「眠いので、やっぱりやめるか」という心の声と格闘し、4時20分に起床。山ウェアに着替えて、適当に荷物を詰め込み、車で出発。目指す大現太山の登山口までは1時間弱。途中のセブンイレブンで朝食にメロンパンを購入。

5:45頃に登山口に到着。狭い駐車場にはすでに2台の車が。長岡ナンバーと大宮ナンバー。もう出発している様子。早速メロンパンを食べながら、登山届を記入・投函し、ストレッチは面倒なのでパスして、5:55に出発。

f:id:houndedori:20160620222936j:image *写真:登山口

一眼レフは悩んだ結果置いていくことに。結果、装備としては

  • 水(500ml)x1
  • スポートドリンク(500ml)x1
  • ウィダーインゼリー x2
  • チョコレートバー x1
  • カップ麺 x1
  • おにぎり x1
  • バーナーとクッカー x1セット
  • トレッキングポール
  • 虫よけ
  • レインウェア
  • 携帯ライト

このような感じ。

大現太山までは3.5kmという表示。これが長いかどうかは行程の内容次第。無心で歩く。このコース、まずは沢を2カ所程横断するポイントが出てくる。水量はこの日はそこまで多くないものも、軽く靴ごとドボンと突入。もちろん、完全防水の登山靴は無傷。流石。

f:id:houndedori:20160620223003j:image *写真:沢渡り①

f:id:houndedori:20160620223024j:image *写真:沢渡り②

この沢を渡った後くらいから、一気に急な登攀へ。トレッキングポールの長さを調整しつつ、淡々と登る。先行者の姿も気配もまったく見えないし感じないので、完全に一人登山。熊鈴を持ってきていないので、熊だけは出ないようにと願いつつ、ひたすら登る。

しかし、この登攀がなかなか急で、なだらかになる気配もなく、かなりキツい。心拍数もかなり上がってしまい、早速「やっぱり帰ろうかな」という邪念もチラつく。「まずは稜線まで頑張ろう」という目標を持って、ひたすら登る。

1時間程登ると少しだけ視界が広がってくる。後ろの遠くには湯沢の市街地が点々のように見える。 

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思えば遠くに来たもんだ。

されど、視界は開けたもののガスっぽくもあり、大現太山は遠くになんとなく存在を感じるのみ。斜面もあまりなだらかになる気配もなく、ひたすら我慢の時間。スポートドリンクでこまかく給水と、一本目のウィダーを注入。頑張って歩く程に汗もかけば、汗のせいで、虫も寄ってくるし、不快感も上がる一方。何度か登っては下りて、登っては、、を繰り返すこと、また1時間。

今度はどうだ、と何か標識が上に見えてきた。そして、登ると「大現太山山頂」の文字!あっけなく、どうやら山頂に到達。しかし、周りはガスで見えず、虫は相変わらず。

f:id:houndedori:20160620223143j:image *写真:大源太山山頂!

そして、まだ、8時。

カップ麺を食べるには早すぎる。誰もいない山頂でカップ麺を食べるのもなんだなと思い、また、このあとの行程は、そこから七ッ小屋山から谷川岳方面に南下、そして分岐をシシゴヤノ頭を経由して、グルっと戻るコース。まだまだ先は長い。

というわけで軽く休憩して、すぐに出発。

ここからは気持ちの大分楽かと思っていたものの、いきなりかなり垂直に近い岩場を降下。緩んでいた気が一瞬で引き締まる。無事に降りたところで、七ッ小屋山方面を望む。

f:id:houndedori:20160620223200j:image *写真:四つん這いで下りました

と、実は大現太山より七ッ小屋山の方が標高は高く、ここからまた登りが続く。。ただ、稜線は風も気持ちよく、何よりも多少ガスっているとは言え、目の前に広がる景色を堪能。振り向けば、さっき登頂した大現太山の山頂はずっと向こうに。。 

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ここから、また淡々と歩く。と、向こうの方に人影が。どうやら先行して登っていた方?体力不足で苦労して登ったので、みんなはきっと速いんだろうなと思っていたけれど、実は登山口から大現太山の標準タイムは2:40。40分程早く着いたらしく、先行者に追いついたよう。ここまで来たら最後まで一人もいいな、と思っていたものの、やはり人影が見えると安心する。

その先行者には途中の休憩スポットで一度追いつく。2人いて、2人組?と思うも、どうやらそれぞれ単独行のよう。一人はソロで慣れていて、もう一人は仲間を見つけたいオーラを放っていました。ソロ慣れ男性が再開すると、もう一人も付いていくパターン。

自分はペースを乱されたくないので、しばし休憩して距離を開けることにする。

振り向けば、下りて、また登ってきた道がすいぶん長く見える。そして、マッターホルンの異名も持つ大現太山は、どうやらこちら方面から見て初めて、マッターホルンに見えるらしい。

このあたりで一本目のスポーツドリンクは終了。ただ、このペースなら残りの水でなんとかなりそう。ここからは、谷川岳方面との分岐まで、また小一時間。基本は稜線歩きなので気持ち良い!多少のアップダウンはありつつも軽快に歩を進める。途中、先行者の仲間見つけたいオーラのおじさんを抜かす。そして、そのまま分岐へ到着。ソロ慣れおじさんはどうやら谷川岳方面に行くらしい。

 

f:id:houndedori:20160620223235j:image *写真:稜線歩き、気持ち良い!

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自分はここからシシゴヤノ頭方面へ下りる。また単独行再開。

f:id:houndedori:20160620223314j:image *写真:分岐点

そういえば、この稜線で、逆の方から登ってくる登山者数名とトレランの男性1名とすれ違う。みんな、それぞれ良いペース。さて、シシゴヤノ頭はだいぶ先。そして、間違いなく、かなりのアップダウンが認められるコース。

覚悟する。そして、道がかなり悪い。あまり整備されておらず、かなり藪漕ぎに近い状態で進む。また1時間くらい。途中休憩がてら、何度も振り向いて、自分が歩いて来た道を振り返る。大現太山の山頂はいつの間にか遠く向こうに。人影も見えない。とにかく山々が大きい。自分の足で歩いて来たとはいえ、よくここまで歩いてきたもんだなと我ながら思う。 

f:id:houndedori:20160620223337j:image *写真:左奥に見えるのが大源太山。 

そして、山に登る理由を考える。

山に登ると、毎回のように、山に登る理由を実は考える。でも、特に理由はいつも思い浮かばない。正直、キツいし、一人は心細いし、まだフルマラソンを走る方が楽。でも、山は山で悪くない。とは思う。

そんなこんなで藪漕ぎ道を下りては登ってを3回で、ようやくシシゴヤノ頭。地図を見る限りは、ここからが下り一辺倒。水分補給とウィダーを追加注入(半分程)。尿意も感じてきたので、補給は適度な具合にする。でも、少し頭痛もしてきて、これは脱水症状の予兆なので、適度に飲む。

この時点で10:00頃。もうカップ麺は要らなそう。となるとバーナーもクッカーもいらなくなったわけで、かなり軽量化できたなと。むしろ、その分で一眼レフを持ってきたもよかったかなと。まあ、このあたりは自分の事前調査と準備が甘かったということで、次回への宿題とする。


そして、下山開始。登山というのは、実は下山が精神的にはかなりタフなもので、このあたりで自分の場合はほぼ確実に膝が悲鳴を上げるので(おそらくフォームが悪い)、トレッキングポールで負荷を分散させながら降りていく。また、下山の道というものは、頭でイメージしているものより、長いもので、下りても下りても登山口は見えてこない。熊にも怯えつつ、何回か登山客ともすれ違い、何か白いものが見えてきた、これは人工物か!?と期待するも、河原の白い岩肌。

でも、河原が見えてきたということは、だいぶ高度も下がってきた証拠。あとは怪我しないように歩くのみ。幸い熊は最後まで登場することもなく、ついに下山口が見えてくる。

f:id:houndedori:20160620223402j:image *写真:謙信ゆかりの道だそうで。

ちなみに、この下りて来たルートは「上杉謙信ゆかりのルート」らしいです。

下山口に出ると、とにかく車だらけ。駐車場は溢れていて(と言っても10数台しか入らない)、路肩にも何台も停まっていた。6:00スタートというのはかなり早かった模様。結局、5時間20分程で終了。参考タイムは8時間くらいなので、お昼休憩は取らなかったはいえ、かなり順調なタイム。

 

f:id:houndedori:20160620223421j:image *写真:満車!

流石に膝は痛い。

靴を履き替えて、軽く身体をほぐして、出発。

 

帰りはもちろん温泉で疲れを癒し、軽くご飯を食べて、帰宅。家というか宿舎に着いた瞬間にドッと訪れる疲労感。ベッドに倒れ込む。仕事なんてしたくない。

 

ともあれ、生きて帰ってこれて、良かった。大袈裟だけれども。

 

さて、次はどこの山を登ろうか。

 

拝。